修道女に子宮頸がんが少ないって、誰が言った?
子宮頸がんは、性的接触を介して子宮頸部に感染したハイリスクHPVの持続感染を原因として生じます(必要条件)。このことは、多くの人が知っているでしょ🐰
性的接触・性交渉が感染を媒介するルートであるのだから、生涯性交渉をしない人では、子宮頸がんは少ない、そう考えるのは自然で実際正しい。同時に、その説明にしばしば「修道女」が登場する。
例えば、一般向けに『修道院の女性には子宮頸がんの患者がほとんどいなかったことが、感染の関与を考える研究につながった』と紹介している(直後に非HPV関連癌があることから処女でも子宮頸がんになると補足しているが、趣旨は同じ)。
他にも、2016年の総説で「性行経験のない修道女や尼さんには決して発症しない」と記され、娼婦や「放蕩主人をもつ夫人」には多く発症することが知られていた、と説明される。
実際、この話は1962年のJAMA―医学系の一流誌だ―にも登場する(発端となったと言っても良い)。そこでは、1842年のRigoni-Sternの論文を根拠として、修道女に子宮頸がんが少ないのは、彼女らが婚姻しないためではないかと推測した、と紹介されている。その後、この説明が繰り返し引用され、物語は広まっていった。性的接触と子宮頸がんとの関連が、現在の知識と整合するだけに「まあ、そうだよね」と受け入れやすい話でもある🐰
では、修道女には子宮頸がんが少ないことは、本当に昔から知られていたのか。そもそも、根拠とされた1842年の論文には、何が書かれていたのか。
これは、古い論文の引用が正確かどうか、だけの問題ではない。「修道女には少なく、娼婦には多い」という物語は、一歩間違えば「子宮頸がんは性的に奔放な女性がかかるもの」という偏見を支える説明になってしまった側面がある。
説明する側も、無意識にその偏見を受け入れ、伝えてしまっていない?その根拠とされる論文を読みながら、そこを紐解いていくのが、今回のレターの趣旨ね🐰
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- 話の根拠として引用されているのは、次の論文🐰
- ただし、この論文は簡単には閲覧できない。
- 論文が書かれた背景
- 何を調べた論文なのか
- がんは女性に多い・しかも子宮と乳房に🐰
- 子宮がんと乳がんでは、年齢による分布が違う
- 婚姻状況によって、二つのがんの比率が違う
- 修道女では、がんが多い(ん?子宮頸がんのはなしじゃなくて?)
- 子宮がんは、修道女で特別に少なかったのか?
- 1842年の論文が1962年には別の物語になってしまった
- 論文の続きには、何が書かれているか
- 『観察から仮説が生まれた』という順序ではなかった
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