口腔へのHPV感染と中咽頭がん

男性にHPVワクチンを接種することは、男性のHPV関連がん予防において重要で、男性を対象とすることは極々極々自然に見えるが🐰
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2024.06.21
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サムネは(https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/head_neck_surgery/050/010/index.html)より。

中咽頭扁平上皮がん(OPSCC)の発症率は世界の多くの地域で増加が観察されています。この増加は性行動の変化→HPVの感染率の増加によるのだろうと考えられているわけです🐰

つまり、そのほかのリスクファクター・喫煙や飲酒によるものに加えて(これらは減少傾向と評価されている)HPV関連癌としての口腔咽頭扁平上皮がんが増加しているってわけ。

HPVの感染がOPSCCの原因になっているであろうことは、1980年代に子宮頸がんからHPV16型18型が発見されて以降、HPV発癌に関する研究を通じて明らかになりました。

一方、OPSCCや頭頸部がんにおけるHPVDNAの検出率には、地理的に大きなばらつきがあるのが特徴。世界的には平均値として、OPSCCの約4分の1から・口腔がんの7.5%・喉頭がんの5.7%からハイリスクHPVのDNAが検出されるとされます。

これが米国の値になると、OPSCCの70%・口腔がんの32%・喉頭がんの20%からになる🐰(グラフ)

US Assessment of HPV Types in Cancers: Implications for Current and 9-Valent HPV Vaccines PMID25925419より

US Assessment of HPV Types in Cancers: Implications for Current and 9-Valent HPV Vaccines PMID25925419より

地域別にHPVの検出率が異なるのはこっち。OPSCCだけ取り出してみた。地域によって、大きく数値が異なるのがわかるだろう。

HPV Involvement in Head and Neck Cancers: Comprehensive Assessment of Biomarkers in 3680 Patients PMID26823521より

HPV Involvement in Head and Neck Cancers: Comprehensive Assessment of Biomarkers in 3680 Patients PMID26823521より

また、強調すべきは世界全体で見た場合『HPVの感染が原因となっているであろう頭頸部がんの増加』が観察されているということだ。

過去の数値よりも現在の数値が大きくなっているし、未来の数値はさらに大きくなるだろう。特に接種が接種『数十年後』のリスクを下げる効果があることを考えると、将来のリスクに対して議論をする必要があるということね🐰

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続きは、5852文字あります。
  • 頭頸部がんにおけるHPV感染の寄与率はどの程度あるのか
  • 日本の頭頸部がんにおけるHPVの寄与率は
  • アメリカでの中咽頭がんにおけるHPVの寄与率
  • HPV関連中咽頭がん発症の自然史がわからない。それが問題だ
  • みんな気になる・性行動の傾向とHPVの検出率の話🐰
  • 男性の方が口腔内においてHPVが感染しやすい?
  • 感染経路は?オーラルセックスが必要なの?
  • 男女の感染率・検出率の違いは、性交渉ごとの感染頻度・リスクを反映しているのか?
  • 男女ともに普遍的に存在する感染リスクとして捉えよう🐰

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