HPV感染予防とコンドーム
主に性的接触を介して感染するHPVによって起こる疾患として①尖圭コンジローマ②HPV関連がん、そして③前がん病変としての異形成(子宮頸部・外陰・陰茎・肛門)が挙げられる。
避妊だけではなく多くの性行為感染症のリスク軽減として『コンドーム』の適切な使用に異論はないだろうが、同様の文脈で性行為を介してのHPV感染の予防に『コンドーム』の適切な使用が言われることも多い。特にSNS上ではよく見るし、より攻撃的な・偏見といえる主張としては『生でしたから子宮頸がん・異形成になったんだろう』というものまである。
HPVに感染すること(HPV陽性になること)HPV関連疾患にかかることの負担の原因の一つに『偏見』がある、しかもHPV検査単独法が今後子宮頸がん検診で導入されていくことを考えると、HPVに感染しているとわかる・認知される(そして偏見の負担を負うことになる)のは圧倒的に検診を受ける女性ばかりだ。
偏見はできるだけ断っておく必要がある。
①『性行為感染症罹患した』ことと『性病に罹患した』ことは全く異なる。『性病』と表現した場合、性道徳に違反した感染症に罹患したと価値観が入った用語とし、医学的に正しい用語とはしない。性病は医学用語ではないし、性道徳の医学的実践において意味も利益もないので議論があるのであれば別でやってくれ🐰医学的実践においては道徳(価値観)の議論はしない。
価値観(偏見)に関する議論の混入が偏見の原因になっているから。
②また医学的実践において『コンドームの適切な使用におけるHPV感染症の予防』の効果は多くの人が考えているより限定的で実際上意味がないとされている。感染予防に非常に効果のあるワクチンが存在する現在、比較して『コンドームの適切な使用におけるHPV感染症の予防効果』は存在しないと言っても構わない。少なくともコンドームが有効な場面が存在するのであればワクチンを接種した方がいいわけで、ワクチンを接種したのであればコンドーム使用の有無はHPV感染に大きな影響を与えない。
偏見の原因として・また実際上意味がないこととして『コンドームによるHPV感染症の予防』に関して議論します。
まず”性行為を介してのHPV感染の予防に『コンドーム』の適切な使用”と言われることの原因の一つに医学・公衆衛生側の混乱・不統一がある🐰
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- 英国NHSの記述を見てみると…いや、どっちなのよ🐰
- 医療における実際の現場でのHPV感染予防とコンドーム
- ・高度異形成治療後の再発予防として性交渉時のコンドームの使用
- コンドームに予防効果があるとするのならワクチンを接種すればいいじゃない🐰
- エビデンスから見た場合のコンドームのHPV感染予防効果
- 『コンドームに70%のHPV感染予防効果がある』と見たことがありますが🐰ここが出どころ
- サマリーにもあるが、新しく性的デビューをした女性の最初の1年間の研究だ。ざっくり人生で初めてから2人目のパートナーを持つまでの研究の結果である
- 論文が明らかにしたのは主にその他のリスクである。
- 『コンドームに70%のHPV感染予防効果がある』はどれくらい真に受けることができるのか
- まとめ
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