13歳までにワクチンを接種した集団からは子宮頸がんが発症していない(スコットランド)
スコットランドでは2008年から国のワクチンプログラムとして12/13歳(Year8 中学2年生相当)を対象に定期接種としてHPVワクチンを導入した。2年間限定で18歳までのキャッチアップ接種を行い、接種率は40%程度であった。18歳というのはスコットランドの教育システム上『大学入学前』ということになる。
当初は2価、2012年より4価、2023年より9価ワクチンとなっている。2019年から男子にも拡大している。2価はコンジローマを予防できない代わりに、交差免疫誘導能が高いとされ、16型18型以外にも近縁のハイリスクHPVに対する感染予防効果が(少なくとも中期的には)示されている。接種率は8割を超えいた。
前がん病変・高度異形成・上皮内がんに関しては臨床試験や実社会でもワクチン接種集団で激減していることは示されていた。特にスコットランドでは12/13歳ワクチン接種集団の子宮頸がん検診における高度異形成は9割減少、初回検診年齢が20歳から引き上げられたのは妥当な判断と言える(見つからないのに検診してもな🐰)。イングランド・スウェーデン・デンマークなどに続く『ワクチン接種集団で子宮頸がんが減っている』ことを示す論文になる。
今回のレポートは、スコットランド全体の検診レジストリ・癌レジストリとワクチン接種歴を紐づけて解析したもの。そのようなデータがあることにまず注目🐰
スコットランドは2016年まで20歳から子宮頸がん検診をおこなっていて、2011からワクチン接種集団がスクリーニング対象になっていたのが特徴だ。これは地味にスコットランドのデータの強みになる。20代の子宮頸がんは特に検診を受けた方が発見されやすくなる、24.5歳より検診を開始するイングランドと比較して20代の子宮頸がんが『見つかりやすい』環境にあったと言える(ざっく50〜60%の対象女性が検診を受けたことがあった)。
これは(男女全年齢あわせて)500万人規模の集団に若い女性対象にHPVワクチンを接種したらどうなった?ワクチン対象集団(1988年〜1996年生まれ)において、誰がワクチンをいつ接種して・検診をいつ受けて・どのような結果で・子宮頸がんと診断されたひとは誰かが網羅されたデータを解析した結果になる。1学年あたりの女性の数は4万人弱ね🐰
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