HPVワクチンを幼児期のワクチンとして接種できませんか?
HPVワクチンの効果が持続時間が十分長期間見込まれれば、もっと若い時に接種してもいいんじゃないの?そのほうが色々問題が少なそうだし、接種率も上がりそう。
マシュマロより。この様な質問が多いので一度まとめておこうかな🐰
これはその通りだ。幼児期での接種は他のワクチンプログラムとの同時接種が可能になり、運用上の簡便さと接種率アップが期待できる。思春期特有の問題も色々なくなるだろう🐰
HPVワクチンの接種のタイミングに関してはこちらにまとめた。
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感染リスクが高いのが思春期から35歳くらいまで(12歳以下の感染は多くない)
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ワクチンの効果の持続時間が導入当初、臨床試験の観察期間+α、10〜20年はあると考えられる根拠があった。
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導入後効果の持続時間に関してはモニターを続けて、必要ならば対処(追加接種)する必要があった。
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接種後時間が経てば経つほど不確定要素が大きくなる。
これらを総合的に考えると、導入当初前思春期(から15歳)までをワクチン接種の対象とすることは合理的な判断だったと言えるだろう。5歳から15歳をワクチンで守る意味は効果の観点からは大きくない。
ワクチンの導入後15年以上がたち、ワクチン接種集団の効果の持続の程度に関しては毎年データが蓄積している。現在までに減弱の気配は観察されず、現時点で追加接種の必要性に関する議論はなく、20年以上問題なく続くと言ってもいい。1番の感染リスクである35歳までをカバーできることがわかったので、議論はほぼ終了したとも言える(あとは検診の役目だ)。
次に、HPV接種の時期を乳幼児期に移行することに必要な追加の議論として…
①9歳以下におけるワクチンの有効性について、中和抗体の誘導能に関する評価
②9歳以下で接種した場合の中和抗体価の維持に関する経時的評価
いずれに関しても、参加者数の少ない臨床研究としては確認されているが、現在正式な規模の大きい臨床研究がアフリカで進行中🐰最初の報告がでる予定が2024年6月になっている。COVIDによる遅延がなければ来年の今頃とりあえず議論ができる様になるね。おそらく問題ない。
その上で実際に行うかどうかは、運用コスト+利益のバランスになるだろう。ワクチンの先行国では30歳以下の集団がワクチン接種者で置き換えられ、その様な集団では集団免疫効果もあって、社会全体で問題となるHPVの感染率が激減している。母子・家族内感染と考えられる再発性気道乳頭腫症も激減していて、幼児期の家族内感染リスクも減少している。現在のワクチンプログラムでうまくいっている場合、わざわざ幼児期の接種プログラムに変更する利益は大きいとはいえない。
技術的には可能であるエビデンスはそろいつつあるが、長期的にはやや不確定要素が残る。それでもなお、幼児期接種に移行する意味はあるか?
日本ならあると思うなぁ🐰3歳で他のワクチンと一緒に接種したら楽だよね。どちらかというと接種にまつわるその他の問題の方が多いんだもん。
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