HPV検査はHPVに感染していること・していないことを調べる検査ではない②
HPV検査はHPVに感染していること・していないことを調べる検査ではない
このことは以前説明した。
今回はHPVDNA検査の特徴・特に短期的に検査を繰り返した場合どの様な結果になるのか、次の論文を見ていくことでその解釈について理解を深めるのが狙いだ。
簡単には
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HPV検査感染者全員を陽性と返す検査ではない。一回の検査の陰性で『感染していない』と解釈した場合は、実際の感染の多くを見逃すこと。
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HPVは型ごとに異なる感染である。そして複数の型に感染していることは極々普通のことであり、型ごとにHPV検査で陽性・陰性に変化することは一般的であること。
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検査の陰性化・再陽性化が『感染の排除→再感染』よりもむしろ『検出感度以下の感染→再検出』と解釈した方が蓋然性が高いこと。
解釈において特に注意するべき前提として、HPV検査が『感染していないことを保証しない』からといって『HPV検査・特に陰性になることが無意味』ではないことだ。感染していることが即がんを発症することを意味しないことと同時に、HPV検査で陰性になる感染からは近い将来がんは発症してこないことがわかっているからだ。HPV検査は感染全体に対する感度は低くても『問題となる様な感染(異形成をもつ様な感染)』に対しては感度が高い。
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HPV検査で陰性であったのなら短期(5年間)の間に子宮頸がんが発症するリスクは非常に小さい。
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期間限定のリスクの低下なので(その間感染リスクがなかったとしても)一定期間後の再検診・つまり定期的な検診は重要。
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また、感染を全て検出できる様な検査法は無意味どころか役に立たなくなる。がん発症リスクと直接関係のない(現在の検査で陰性となっている)感染を検出する様になれば、全員が陽性となるし、その結果の解釈ができなくなる。
(何度か繰り返したことだがまとめておこう🐰)
この研究の結果から、すべての感染を見つけるために検査を繰り返す必要があること・検査方法の変更を議論するものではなく、比較的短い期間に関する『HPV感染の自然史』を知るためのものだ。
短期間に検査を繰り返すことで陽性化・陰性化することの意味。HPVにおいて、パートナーとの間で治癒と再感染を繰り返すいわゆる『ピンポン感染』が起こっているとかんがえられるか。
3ヶ月間週2回
33人の自己採取膣サンプルを用いてHPV検査を週に2回(3/4日おきに)3ヶ月間にわたって行ったものになる。結果をまとめたのがこれ(掲載号の雑誌の表紙にもなった)。
左の数字は検出された型の数。X軸が検査初日からの日にち。型別に陽性か陰性化が示してあって、黒が陽性・グレーが陰性。ギャップはサンプルなし。薄いグレーは被験者を分けたもの。徹底的に検査を繰り返したわけだ。
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- 3ヶ月検査を繰り返すと33人中28人(84%)がHPV検査が陽性となった。
- 一方、感染の多くは検査で陰性となることがある。しかもかなりのケースで
- HPV検査の陽性・陰性化することと性的活動性について。
- 性交渉が全くなくてもHPV検査は陽性化も陰性化もする
- ピンポン感染・治癒/排除と性的パートナーからの再感染を繰り返すことは起こっているのだろうか
- まとめ
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