オーストラリアのキャッチアップ接種はどの程度の効果が期待できるのだろうか🐰

オーストラリアのがん統計をみるとキャッチアップ接種を行った集団で構成される30代の子宮頸がんが減少している気配がない。キャッチアップ接種は意味が全くないのか?
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2024.01.20
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オーストラリアでは2007年にHPVワクチンが導入され2009年まで26歳までを対象にキャッチアップ接種が行われた。接種対象と接種率、初交年齢の中央値をまとめたのがこれ。

(公表されている最新の子宮頸がん罹患率である)2019年において30代は性的デビュー後にワクチンを接種したいわゆるキャッチアップ世代で構成されているのがわかるだろう。

ワクチン接種開始2007年以降の20代・30代の子宮頸がん罹患率をそれぞれ見てみよう(水色の一番右端が2019年の数値だ)。

30代のデータ。罹患率は2000年以降増加傾向にあり、ワクチン接種でトレンドの変化はない。

30代のデータ。罹患率は2000年以降増加傾向にあり、ワクチン接種でトレンドの変化はない。

20代のデータ。2000年以降増加傾向になるが、ワクチン接種集団で置き換えが進む2013年以降子宮頸がんが急減している。

20代のデータ。2000年以降増加傾向になるが、ワクチン接種集団で置き換えが進む2013年以降子宮頸がんが急減している。

簡単に解説すると

  • 多くが性的にデビュー後であったキャッチアップ接種対象者は60%近い接種率があったにもかかわらず、2019年時点で子宮頸がんが減っていない(30代)。

  • 多くが性的デビュー前であった定期接種対象者は、接種率が高かったこともあり、209年時点で子宮頸がんが激減している(20代)

ざっくりまとめると『HPVワクチンはタイミングが重要。なるべく若い時に接種したほうがいい』ということだ。

では、キャッチアップ接種は全く意味がないのだろうか?

そんなことはない。

『子宮頸がん予防効果は期待されているが、明らかになるにはさらに時間がかかる』とされている。説明しよう🐰

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続きは、2461文字あります。
  • まずHPV感染から子宮頸がん発症までの自然史を知ろう
  • HPV検査の陽性率の減少・前がん病変の発症率の減少として予防効果が確認されている。
  • まとめ

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