4価ワクチンと9価ワクチン:効果の違いの実際
簡単な答えは『HPVワクチンは適切なタイミングで接種できるものを接種して終了』になります。どのワクチンを接種するかよりも、接種のタイミング(なるべく早く)接種することが重要であることが示されているからです。
2価/4価→9価(現行)→14価(将来)→汎HPVワクチン(将来)→とHPVワクチンも進化していきますが、その都度原則は同じです。各国ごとに公衆衛生上の導入のタイミングで切り替わるだけの話です。
そして、追加接種に関して、効果・利益に関しては評価されることはありませんし費用対効果でペイすることことはありませんので、推奨されることはありません。この辺の判断は国の保健当局が責任をもって行い、接種を受ける側が不安に思ったり・迷ったりすることがないようにするのが原則です。
ノルウェーでは2017年に4価から2価ワクチンに変更になりました。現時点でも2価。ワクチンと検診で子宮頸がんを予防していく戦略において一番費用対効果がいいと判断したからです。
一方、日本では定期接種の期間が小6〜高1と広く(標準は中1としつつも)接種のタイミングは保護者の判断に任せられます。さらには、積極的勧奨再開1年目に定期接種への9価の採用を決定しました。4価から9価への変更は表面上はいいことだと捉えられますが、勧奨再開一年目に『定期接種(中1以上はなるべく早くで接種しましょう)』と呼びかける中で次の『4月まで待てば9価が接種できるよ』と真逆のことを行ったわけです。
イングランドでの4価から9価への移行(2022年)の際は、学校集団接種で7〜8割が12/13歳で接種したのちに、翌年から9価に移行しました。受ける側に選択肢はありませんでしたし、追加接種の議論もありません。
これはワクチン行政としては悪手でした(その自覚はないようですが)。①定期接種・キャッチアップ接種をなるべく早く受けるよう積極的な勧奨を行いながら②翌年まで待った方がより良いワクチンを接種できるとしたことです。
さらには①に正しく対応した4価接種者に対して『間違った判断をしたのでは?』と考えさせてしまったのが『最悪』でした。ワクチン行政全体への信頼度低下につながります。しかも、保護者の判断で接種のタイミングを決めれる環境でですよ。
ワクチン行政・公衆衛生上の観点から、9価導入のタイミング・その方法に関しては全く評価できません。
『HPVワクチンは適切なタイミングで接種できるものを接種して終了』になります。どのワクチンを接種するかよりも、接種のタイミング(なるべく早く)接種すること
これを達成するために一貫した方法・システムが必要です。積極的勧奨を中断したことと同じような間違いをとも言えます。
とは言え、やってしまったことに関しては仕方ありませんので『4価ワクチンと9価ワクチン:効果の違いの実際』はどこにあるのかを説明します。
検診を受ける前提であれば『子宮頸がん罹患・死亡リスク』は4価ワクチンと9価ワクチンで大きく差がない
公衆衛生上は期待される予防効果は70%と90%と、発症してくる子宮頸がんが3倍異なる(10%→30%)とも解釈されます。現在の検診システムを運用した上で子宮頸がんが発症してくるのは『検診を受けていない人:80』に対して『検診をすり抜けて発症してくる人:20』と検診を受けていない人から主に発症しています。
つまり、検診を受けていれば、4価ワクチンで予防できない他のハイリスクHPVによる子宮頸がんの大部分は検診によって予防されて発症してきません。
『ワクチンで7割〜9割』・『検診で残りの9割』を予防するのが子宮頸がんの撲滅計画です。総合すると(雑な計算ですが)4価+検診で今の3%程度、9価+検診で今の1%程度に子宮頸がん罹患率・死亡率になることになります。
大きな差ではないとします。
4価ワクチンと9価ワクチンの差は『検診負担』の差
とは言っても、4価の方が検診の役割が大きくなりますから、その分検診で発症する上皮内がん(高度異形成)の発症率が高くなり、その罹患・治療負担が9価と比較すると大きくなります。これが実際上の4価と9価の負担の違いになるでしょう。9価においても程度問題で、ハイリスクHPVがまだ6種類残っていますから、ハイリスクHPVの感染自体→そこからの異形成の発症はそこそこ発症しますから、がんほど(90%)減ることはないでしょう。若い時ほど減ることは期待できます。
総合すると、検診負担を引き受けた上で4価ワクチンと9価ワクチンの差は大きくないとします。
検診負担を考える上で重要になるのが『ワクチン接種者に対する検診は、非接種者と同じで良いのか?』になります。
ワクチンを適切なタイミングで接種すると子宮頸がん罹患率が(特に若いほど)激減します。2価4価ワクチンでも20代であれば9割・30代でも8割程度子宮頸がんの罹患率が減ります。検診の頻度もこの罹患率に合わせたものになるべきです(そうでないと、負担・害が利益を凌駕することになります)。
検診を今まで通り2年に1回(人によっては毎年)受けるようでは4価ワクチンと9価ワクチンの差は『検診負担』の差は最大化します。
この辺は次の課題です🐰
これが参考になるかな。

2価・4価を10年前に接種した9価を追加接種する利益があるだろうか
追加接種に利益があることに関するデータはそもそもないので、細かい議論はそもそもできないが、もし『差分に効果があると仮定』した場合で考えると。
ある程度性的経験があるのであれば、ワクチン自体に効果があっても利益は存在しないと考えられる。
すでに感染しているだろうから。感染していないものがあるかも・将来さらに感染するかもと考えるのであれば、利益のあるなしを考える必要はない、議論は不要だ接種すると良い。そもそも細かい議論はしていない。
4価を中1で接種させた、まだ高校1年生9価を接種すると利益はあるだろうか?
追加接種に利益があることに関するデータはそもそもないので、細かい議論はそもそもできないが、もし『差分に効果があると仮定』した場合で考えると。
もし、感染機会がなかったのであれば、追加の利益があるかもしれない、となる。4価と9価の差は説明したので、可能性としてある利益がどの程度かは自分で考えるといいだろう。
『HPVワクチンは適切なタイミングで接種できるものを接種して終了』でその理由も説明した。4価を12歳で接種したのであれば、それがその時の最善の選択であった。
9価の追加利益に関してはデータもなく議論はできない・公衆衛生上の観点からは推奨しない。その上で、利益があるかもと接種を希望することに関しては特に止めるほどのことはない。利益があると信じて(細かい議論は不要かつ不可能だ)接種するといいだろう。
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