がん登録データを見ればワクチンの効果は明白だ(スコットランド)

またなんだ🐰すまない。適切なタイミングでワクチンを接種した集団では子宮頸がんが減ったデータしかない
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2025.01.29
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定期接種でワクチンを接種した集団で子宮頸がんが発症していない(以前は10人前後いたのに)

スコットランドでは2008年より12/13歳を対象にワクチン接種を開始した。スコットランドでは、25歳から子宮頸がん検診を行っているから、2020年以降にワクチンを定期接種で接種した集団が検診を受け始め、同時に子宮頸がんに罹患しているのであれば発見され始めると期待されていた。

で、どうなったか。

予想されていたことを挙げてみよう🐰

①20代の子宮頸がんのうち9割が16型18型だ。ワクチンが予想通り効くのであれば、9割の子宮頸がんが減少することが期待できる。

②20代の高度異形成の発現制御が16型と18型だ、ワクチンが予想通り効くのであれば、半分以上の上皮内がんが減少する。高度異形成が減少することによって、将来の子宮頸がんが減少するだろう。

Public Health Scotland からデータを拾ってきた。

・1998年〜2022年の数値を

・20〜34歳までを、5歳年齢階級ごとに

・浸潤子宮頸がん・上皮内がん、それぞれの数値を

・(人口が少なく毎年の数値のばらつきが大きいから、傾向をみるのにわかりやすいよう)3年移動平均として

グラフに示した。

補助線を入れると

・22年で26/27歳が、ワクチンを接種した上で、検診を受けている。

・ワクチンの接種率は9割弱

・9割x90%(期待される効果)の8割効けば、ワクチンそのものとしての期待通りの結果だ。

グラフの変化を見れば一目瞭然ね🐰

せっかくなので、鑑賞しやすいように、蛇足を承知で解説を加える。

・2000年以降上皮内がんは安定して発症してきていたが、キャッチアップ接種でワクチンを接種した集団が、それぞれの年齢階級に入るのに従って、上皮内がんが減少している。

20〜24歳であれば2010年頃から、25〜29歳であれば2015年ごろから、綺麗にその集団中のワクチン接種率の上昇に伴って、上皮内がんが減っている。特に、5歳の違いで5年の違いが見られているのに注目しよう。

・ワクチン接種者がいない30代は大きな変化がない。ワクチンを接種していないと減らない。

・22年時点で13歳までにワクチンを接種した集団の先頭は27歳。あと2年観察すれば、ワクチン接種の20代におけるインパクトの全貌がわかることになるよ。

・この数値はワクチンを接種していない人も含めた数値だ。

ワクチンの効果としては『期待以上』だ。ワクチン接種率が高いことによる、集団免疫効果の結果を見ている。

・上皮内がんの減少は、将来にわたる子宮頸がんの減少を示す。

これが一番重要な解釈とも言える。検診は、上皮内がんを見つけて、治療して減らすことによって子宮頸がんの発症を予防してきた(過去30年間)。治療しなくても上皮内がんが減っている。将来の子宮頸がんが減るのは当然だ。

・2016年以降の20〜24歳の減少は、検診開始年齢の変更に伴う影響がある。

HPVワクチンを接種すると、20代前半の子宮頸がん検診をする必要はなくなった。

今度は浸潤子宮頸がん。解説を加えるが、ほとんど同じ。

・2000年以降、浸潤子宮頸がん罹患の低年齢化が指摘されており、20代の子宮頸がん罹患率は増加傾向にあった。キャッチアップ接種でワクチンを接種した集団が、年齢階級に入るのに従って、浸潤子宮頸がんが減少している。

20〜24歳の子宮頸がんの大部分が24歳であること指摘しておく。

25〜29歳においてはピーク時の8割減、2000年頃と比較しても半減以上している。

・ワクチン接種者がいない30代は大きな変化がない。ワクチンを接種していないと減らない。

まあ当然だ。ワクチンの輝かしい成功を示すとともに、ワクチン前後で子宮頸がん予防の世界がまるで変わってしまったのがわかるだろう。

・22年時点で13歳までにワクチンを接種した集団の先頭は27歳。あと2年観察すれば、ワクチン接種の20代におけるインパクトの全貌がわかることになるよ。

『スコットランドでワクチン接種者で子宮頸がんが0だった』というのは、昨年26歳27歳で子宮頸がんが発症していないという意味。

・この数値はワクチンを接種していない人も含めた数値だ。

ワクチンの効果としては『期待以上』だ。ワクチン接種率が高いことによる、集団免疫効果の結果を見ている。

・30代の子宮頸がんに関するワクチンのインパクトが見え始めるのは5年後で、全貌がわかるのには10年かかる。

予想は8割の減少だ。ワクチンタイプ以外の子宮頸がんが発症してくる。検診を全員が受けてくれれば、残りの8割近くも予防できると期待できるが。

・HPVワクチンが20代の子宮頸がんをほぼ完封できることは『ここにも』示された。

世界中どこを見ても同じような結果だ。HPVワクチンに子宮頸がん予防効果があることは議論の余地がなくなった。あとは程度問題。

***

そしてここが重要なのだが。

どこのデータを見ても

『HPVワクチンは若い時に接種した方が効く』

日本の高校一年生も悪くはないだろう。同時に、中学校一年生までに接種した方が集団で見た場合より効くのは明らかと言える。

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