MSM (男性と性交渉をする男性)はHPVワクチンの対象とすべきか?
国際パピローマウイルス学会(IPVC2024 Edinburgh)でのディベートセッション②
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi)
2024.11.23
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HPVは男女関係なく感染し・男女関係なく病気の原因となる。HPVの感染予防に効果のあるワクチンが存在するのなら、男女関係なく接種するのが当然だろう。
現在は公衆衛生上の優先順位の問題で対象が女性に限られているだけの話。そのうち男性も対象になる(多くの国ではなっている)。
ここからわかる様に、この問題『MSMはHPVワクチンの対象とすべきか?』は、標準の接種対象を超えて『MSMだけ特別に接種すべきか?』という議論になる。特に英国で行われている、MSMを対象にした無条件の45歳までのキャッチアップ接種の妥当性に関する議論と考えていい。2018年度だけの短いあいだ『MSMだけ』を男性のワクチン対象とするプログラムを英国では行なった。
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- MSMにおいて全年齢層にわたって40%からHPV6/11/16/18が検出される
- MSMの肛門がんの罹患率が高い
- HPVワクチンは肛門がん・前がん病変に対する予防効果が男女ともに確認されている
- MSMは女性を対象としたワクチンプログラムでは集団免疫効果では守られない(だからMSMだけ対象とする必要がある)
- 肛門がんには子宮頸がんのような二次予防としてのスクリーニング・検診が存在しない
- MSMにおいて肛門癌のリスクが高く・男性にワクチンが有効であることは議論がない
- 子宮頸がんに対する予防効果をみると、接種年齢における明らかな効果の差がある
- HPVワクチンの効果は年齢・タイミングが命
- 公衆衛生・ワクチンプログラムとして『MSMだけ特別に接種すべきか?』と対象とするための条件を満たしているか?
- HPVワクチンは性的デビュー前に接種するのが基本
- MSMってどんな人?
- じゃあ、どうやってMSMをHPV感染から守ればいいのだろうか
- 議論の結果
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