感染したHPVは排除されるのか?
性的接触の経験のあるほとんどの(8割という数字がよく採用される)ヒトが一生で一度はハイリスクHPVに感染する機会があるが『9割のヒトでは数年以内にHPVは”排除”され、一部の持続感染しているヒトから子宮頸がんが発症することがある』
これは、多数の人が経験することとなる平均的な人生であればがんの原因となる『ハイリスクHPVに感染することは特別なことではなく極々普通のこと』だけど、全員ががんになるわけではないことを説明するときによく使われるものだ🐰
ワクチンのない時代は感染することは、性的な接触をする限りどうしようもなく、恐れたり・コントロールできるリスクではなく『感染するのは前提でその中でがん発症リスクが高い人を見つけて予防的治療をするのが検診』これを説明するのにも使われたものだ🐰
子宮頸がんがHPVの感染が原因であることが強調され・HPV検査単独法検診が次世代の検診として紹介される様になって忘れ去られている・勘違いされる様になっているけど『子宮頸がん検診はHPVの感染者を見つけるため』にしているのではない。
実際ハイリスクHPVに感染している圧倒的大部分の期間・機会でHPVは病原性を発揮していないし、感染している本人も感染していることを自覚していない。🐰さん夫婦も自覚していないし、運が良ければ自覚する機会なく人生を終えることができるだろう。
『感染→発症(症状の自覚)→治癒→病原体(ウイルスや細菌)の体内からの消失』この様な感染症の自然史をHPVももつと考えてしまうのは仕方がない。実際多くの感染症ではこの様な経過をたどる。
HPV感染症の自然史に対する理解が深まるにつれ、実際はHPVは持続感染を本態とするウイルスであることがわかってきた。
2025年のIPVC (国際パピローマウイルス学会)バンコクではホットトピックとして『感染したHPVは排除されるのか?』ディベートセッションが行われた。
紹介と解説をする🐰
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- HPVの感染が体内から排除された・消失したことを調べる方法はないし『(今回)感染したこと』を調べる方法もない
- 個人的に面白かったこと(前置き)
- 急性ウイルス性感染症と持続性ウイルス感染症:簡単に
- ちょっと待って、HPV感染は排除されず『検出感度以下の持続感染と再活性化・再検出』の話を常々しているじゃないか(論者がそちらの人だから)🐰
- HPVの感染と言いますが、見ているのはHPV-DNAじゃない?
- パピローマウイルス(PV)は環境中で感染性を長期間維持することがわかっている
- HPVがもつウイルス遺伝子・蛋白質の機能を見てみると…
- 実際多くの人ではHPVの感染(検査の陽性化)や異形成の発症はそのうち陰性化してそのまま生涯を通じて陰性のままだ
- 次に『HPVは一度感染すると持続感染し排除されることはない』という議論を見てみよう
- 研究でわかっていること
- 生涯を通じた子宮頸がん検診において、HPVの検出・異形成の罹患を(直近の)感染機会と捉えるかどうかの問題だ🐰
- 感染が排除されることがあってもいいのだけど…
- 実質的に感染したHPVは排除されるのかに関しては議論が存在しないことがわかる?
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