HPV感染症はピンポン感染するのか?
(お知らせ)IPVC (国際パピローマウイルス学会)に参加するため、しばらく学会モードになります🐰
ピンポン感染とは、性感染症(sexually transmitted infection: STI)において、感染者とその性的パートナーの間で同一の病原体が相互に再感染を繰り返す現象を指す。
もし、一方が治療を受けて治ったとしても、もう一方が未治療のままだと感染源が残り、性的接触を介して再び感染が戻ってくる(再感染)——この往復感染が『ピンポン感染』だ🐰
細菌性の性感染症、クラミジア感染症・淋菌感染症・トリコモナス感染症などを治療する場合に、性的パートナーが固定されている場合でも、そのパートナーが未治療で感染が継続していた場合、自分が治療し(完治し)ても性交渉を介して再感染してしまう。
Googleで検索してTopからみて一番公的な情報に近いものを見てみると(千葉県医師会のページ)

淋菌感染症の治療の部分の説明ね
淋菌感染症の治療における注意点としてピンポン感染を指摘しパートナーも合わせて治療することを強調している。
ポイントは次の2点🐰
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淋菌は、一度感染しても免疫が成立しないため、何度でも感染する。したがって、治療によって一度完治しても、再び感染機会があれば容易に再感染してしまう。
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パートナーが感染していれば、その人自身が感染源となりうる。
もちろん、新しいパートナーを持てば(その相手が感染しているか不明である以上)感染リスクは常に存在する。しかし、すでに関係を持っているパートナー間では、過去の性交渉を通じて同一の菌に感染している可能性が高く、確実な再感染リスクとして考慮すべきである。
では、これがHPV感染症にも当てはまるだろうか?
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- HPV感染症とはどの様な感染症だろうか。尖圭コンジローマを例に考えてみよう。
- ウイルス性性行為感染症・尖圭コンジローマを治療する目的はなにか
- 尖圭コンジローマはピンポン感染する病気だろうか?
- パートナーは治療するべきだろうか🐰
- パートナー間で感染予防は必要か?―性交渉を避けるべきだろうか?
- 子宮頸部の感染病変にもまったく同じことが言える
- さらにいくつかある誤解をつらつらと
- 臨床上、再感染が問題となっていないことを示すものは?
- まとめ
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