HPVに関するちょっとした疑問に答えるシリーズ③

知らないのよ、みんな。ただ子宮頸癌予防しか知らない。もっと啓発する所は、ココな🐰
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2024.09.03
誰でも

みんなの知らないこと、知りたいことがわからない🐰さんにはありがたい。ありがとう

・なぜ子宮頸に癌が出来るの?

子宮頸がんの原因のほとんどは『ハイリスクHPV』に感染することね🐰

ハイリスクHPVに感染することは必要条件だけど十分ではない→感染した人の全てが発症するわけではない。ハイリスクHPVは『癌化するリスクを上げる』ことができるので、感染した人のうち運が悪い人ががんとして発症することになる。

感染しても9割の人では自然に排除されます
排除はされんのだけどね🐰

これって、運の悪い1割の人では問題になるってことね。

運の悪ヒト(誰が運が悪いかわからない)の中で、癌化リスクを上げ続けて、10年20年かけてがんになっている(さらにさらに運が悪いと数年でがん化している)

子宮頸部の問題点は、子宮頸部にある特別な細胞が『HPVに感染した時に特にがん化しやすい性質』があるらしいこと。がん化しやすい性質とは、HPVの持つ『がん遺伝子(がん化を促進する因子)』の異常発現が起こりやすい細胞であるということ。

これが、あちこちに感染するのに、陰茎よりも外陰よりも膣よりも『子宮頸に』癌ができやすい理由ね。

・HPV(子宮頸がん)って予防出来るってどういうこと?

HPVってウイルスだから、もともとヒトの細胞の中にはない『外から来た因子』なのね。だから、外からヒトに入り込む前に防ぐチャンスがあるということ。

子宮頸がんの理由はわかっていて『必要な条件はハイリスクHPVの感染』なので、HPVの感染を予防できれば子宮頸がんが発症しなくなるって話🐰

・予防ワクチン?ウィルスってこと?

で、そのためのワクチンが20年かけて開発されました。ウイルスが原因→感染症が原因ならワクチン(その原因となっている感染性病原体に対して特異的な免疫を誘導すること)で予防できるってアイディアね🐰

HPVワクチンは、

・標的とするHPVの感染を予防することができる(9価ワクチンなら、がんの9割の原因となっているHPVを予防することができる)

・それらのHPVの感染によって起こる、がんの前段階である感染病変・異形成を予防することができる

・良性の感染病変である尖圭コンジローマを予防することができる

ことが、臨床試験で示されてために、認可され使用されることになったよ(2006/2007年の話)

ハイリスクHPVに感染せず・前がん病変にも罹患しないのであればがんも減るだろう

集団接種を開始して10年以上経った2020年ごろ、接種した人たちががん発症年齢になったために『HPVワクチンの子宮頸がん予防における効果』が実社会で確認される様になりました。結果は…

初交前(感染機会前)に接種した人たちからは、子宮頸がんがほとんど発症していない

HPV感染予防ワクチンは確かに、子宮頸がん予防ワクチンでした🐰

・なんで子宮頸にウィルスがいるの?

ウイルスは外来の因子なので、外から(他人やものを介して)子宮頸部にウイルスがきたわけです。外からウイルスを子宮頸部に運ぶきっかけのほとんどが性的な接触です。

アメリカで女子大生を調べたのですが、観察開始時(処女)にHPVの陽性率は非常に低い(一桁)なのですが、性的デビュー後は2年で6〜7割の人がなんらかの(40種類程度ありますでな)HPVが検出される様になります。そして、その約半分がハイリスクHPVでした。

性的に活動的になるとあっさり感染してしまっている
だから初交前に接種するのが強く推奨されてる

別の調査では、通算で三人のパートナーがいた人では、平均1種類のハイリスクHPVに感染している(大体みんな感染している)ことが示されています。

子宮頸がんリスクとしては、通算で5〜6人のパートナーを持つことで、発症リスクとしては飽和してしまうことがわかっています。

いずれも比較的簡単に感染してしまっていることを示しています。

***

なぜこの様に性的デビュー後に、こんなに簡単に感染してしまっているのか🐰

①性的な接触の感染率・伝搬率は、繰り返し接触することを考えるとほぼ100%に近い

とした上で

②性交渉以外の感染経路もその背景に役割があるだろう(そして性交渉をした時に子宮頸部に運ばれる)

③HPV16は特に、外陰・口腔や皮膚(指)に感染することが知られている。

④一部にはものを介した感染もあるだろう。特にリスクが高めなのは家族内

②〜③は頻度としては低いのは確か、そして子宮頸がんの原因にはなっていない(感染部位にしか影響しない)が、性的な活動をきっかけに、子宮頸部への感染とヒトtoヒトの感染が蔓延することの背景になっていると、解釈されているわけですね🐰

家庭内感染や性交渉以外の感染で一部のヒトがキャリアになっていたのが、思春期以降のあらゆるロマンティックな接触(キスやペッティングなど)を介して、基礎となる感染率が決まり、性的に活動的になった後、パートナーを介して感染が蔓延することになる。

日本人の平均パートナー数は1に近くはなく2以上であれば、ほぼ全員に感染してしまうことが十分説明できます。

***

こんな感じになりますよ🐰

無料で「アマクロ疣研」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
既にコンジローマ罹患・治癒済みの人が、ワクチンを接種した場合再発は予防...
読者限定
経口避妊薬(ピル)は、子宮頸がんのリスクを高めるの?
誰でも
子宮頸がん検診が細胞診からHPV検査へ変更🐰知っておきべきことは?
誰でも
キャッチアップ接種、私にも意味があるの?
読者限定
我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか
読者限定
日本では10代のHPV感染率が一番高いの?
読者限定
HPVワクチンの安全性評価⑥ワクチンの安全性に関する世界諮問委員会によ...
誰でも
生まれてくる赤ちゃんの気道乳頭腫症を予防しよう:HPVワクチンキャッチ...