みてわかるHPV (11)スコットランドの癌統計でみるHPVワクチンの効果(一年分のデータ追加)
先日スコットランドのがん統計が更新され23年のデータが追加された。

2020年では全世代で罹患数(診断数)の落ち込みが見られる。パンデミックの影響だが翌年以降正常化した。
・定期接種でワクチンを接種した集団(接種率9割)の最年長が28歳となり20代人口の9割弱がワクチン接種者で置き換わった。キャッチアップ接種の最年長が33歳ね🐰
①20代前半の癌発症はなかった。ワクチン導入前10年間の平均と比較しても10分の1以下の傾向が続いている。
②20代後半の癌発症も減少傾向が続く。ワクチン導入前10年間の平均と比較して8〜9割の減少となる。接種率9割・有効性9割(16型18型の20代での寄与率)から期待できる減少率(8割)以上の成果だ。ワクチンで予防できる部分はほぼ完封していると言える。ワクチン接種者は初回検診年齢30歳でいいのでは?
③30代前半がキャッチアップ接種での置き換わりが進むに従って、いよいよ子宮頸がん罹患率の減少傾向が見えてきている可能性がある。あと数年すればよりはっきりするだろう。
④ワクチンの対象ではなかった世代では子宮頸がんは特に増加も減少もしていない。
続いて『上皮内がん』🐰

上皮内がんは子宮頸がんに罹患する5〜15年以上前の病態だ。その発症のピークは20代後半から30歳前半だ。2020年の落ち込みはパンデミックの影響
①ワクチンの接種集団で置き換わった20代前半は子宮頸がん検診が廃止された。20代前半の上皮内癌罹患率は減少しているともに・診断されなくなった(それでがんが発症しないのだから問題ない)
②スコットランドでは上皮内がんの罹患率は20代後半がピークだ。キャッチアップ接種を含めた接種者で完全に置き換わった結果、上皮内がん罹患率も、ワクチン導入前平均の8割減少となっている。20代の上皮内がんも16型18型が原因になっていることがわかる。
③子宮頸がんと同じく、30代前半がキャッチアップ接種での置き換わりが進むに従って上皮内がんの減少傾向が見え始めている可能性がある。来年が楽しみだね。
④ワクチン非対象集団の罹患率はその傾向に大きく変わりがない(30代後半は増えているのかね)
変わり映えしないのだが…HPVワクチンが子宮頸がんの予防に有効であることは疑い用がなく、あとは程度問題だ🐰効果の持続期間の確実性に関しても特に懸念はない。また一年分リアルワールドでのデータが蓄積された。
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