HPVの存在証明⑨Shope Rabbit Papillomaの登場

パピローマウイルスの基礎は(動物)実験の可能なヒト以外の動物における乳頭腫(パピローマ)を起こすウイルスで進むことになる
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2024.06.01
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前回までに

・乳頭腫(パピローマ)・イボという疾患があること。

・乳頭腫は感染性の疾患であること

・その感染は濾過性の因子が媒介していること

がヒトでの疾患の存在とヒトへの感染実験を通してわかった。

顕微鏡でも見えない(濾過できないくらい小さな)感染性病原体が原因で乳頭腫が生じていることがわかったわけだ。そして、その様な感染性病原体『ウイルス(のちのパピローマウイルス、今後そう呼ぶ)』と定義され、その存在が明らかとなった。

パピローマウイルスをめぐる次の段階は、動物の乳頭腫(パピローマ・イボ)とそれを媒介する感染性因子をめぐって展開することになる。動物のパピローマウイルスの話になる。

動物のパピローマウイルスを扱うことの利点は、サンプルの数を多く手に入れられること、実際に実験を再現性を十分確認できる程度、十分に制限なるやれることだ。ヒトにコンジローマ抽出液を100人ならべて繰り返すわけにはいけないし、接種後時間経過ごとにサンプリングすることもできない。

動物のパピローマウイルスにおいて、その病気と病原性の因果関係は『コッホ・ヘンレの原則』を満たす形で証明されます。サンプルの準備(分離)のための病変が制限なく手に入ることと、感染実験を行うことにも制限がないからだ。初期のパピローマウイルス感染症・パピローマウイルス学が確立するときに、コッホの4原則を満たす形でその病原性が同定される。そして、その発展系として、HPV関連がん(HPV感染症の発癌リスクとしての同定)が発見されていくわけね🐰

今や、人類の全がんの5%の原因となっている、HPV感染症。そのことが理解されることのきっかけとなり、HPVウイルス発癌学の端緒となった『子宮頸がんからの新型HPV16型18型の発見』をしたHarld zur Hausen博士にノーベル賞が与えられたのは至極当然に見えます。そのゴールが、遠いですけど、遠くの山の頂上に見えてきましたよ。

では行ってみよう🐰

パブリックドメイン・ところで誰よ?🐰

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