HPVワクチンを4価から9価へ変更する影響は?―費用対効果を考える
前回・前々回は、英国におけるHPVワクチンの男子への定期接種拡大を題材に、ワクチンの費用対効果がどのように評価され、その結論が前提条件によって大きく動くことを見た🐰
今回は、HPVワクチンを4価から9価へ変更する場合の費用対効果を題材に、同じ問題を考えてみよう🎶
ワクチンを接種しない場合と比較した費用対効果は、
・4価で712万円/QALY
・9価で420万円/QALY
と推定された。モデルに投入された接種費用は、4価が47,345円、9価が71,154円であり、9価は約1.5倍高い。それにもかかわらず、9価の方が費用対効果に優れるという結果。
この結果は『4価と9価の接種費用の差』と『4価と9価によって減少すると期待される疾病負担の差』から生じたことになる。
接種費用とICERから大まかに逆算すると、日本のモデルでは、9価によって減少する疾病負担は4価の約2.5倍と評価されている。より高価な9価の方が費用対効果に優れるのは、追加される5型によって、4価が予防する以上の疾病負担をさらに減らせると計算されているため🐰
一方、英国の評価では、女子への接種について費用対効果を満たす1回当たりの許容価格は、4価で£99.64、9価で£108.05と推定された。同じように、ごく大まかに許容価格の差を予防可能な疾病負担の差に読み替えると、9価は4価の約1.08倍である。つまり英国では、9価で追加される5型による上乗せは、4価によって減少する疾病負担の約8%に相当すると評価されたことになる。
🐰『日本では2.5倍、英国では1.08倍…』
両国のモデルは、対象とする疾病、費用、割引率などが異なるため、この数字をそのまま直接比較することはできない。しかし、それだけでは片づけにくいほど、両者の差は大きい。
なぜ、こんなに違うのだろうか。
まず、日本で9価ワクチンの費用対効果がどのように評価されたのかを整理する。次に、英国では4価と9価の違いが許容価格にどのように反映されたのかを見ていく。そのうえで、日本のモデルにおけるワクチン効果の持続期間や、HPV16・18型と9価で追加される5型の疾病負担が、どのように設定されているのかを検討してみるよ。
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- どのようなモデルで評価したのか
- このモデルの数字をどう読むか
- 4価よりも、9価の「追加効果」の方が大きい?
- 最初の10年間の感染を防いでも、がんは1割も減らない?(4価と9価の差に直接は関係ないけど)
- 10年目以降の感染の方が、がんへの寄与が大きい?
- 20年間感染を予防しても、がんは2割しか減らない?
- それでも、9価(4価も)ワクチンは費用対効果がよい
- 英国では、4価から9価への変更をどう評価したのか
- それでも、9価ワクチンの許容価格は約8%しか高くない
- まとめ―日本の4価・9価ワクチンの価格差は妥当なのか
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