HPVワクチンには有害事象報告が山盛り! でも……
引越しと新学期が始まってからの風邪と活動性が下がっていました🐰復活途上
『HPVワクチン接種後には、特徴的な体調不良を訴える人が多い』
だから「HPVワクチンには、そのような副作用のリスクがあるのではないか🐰
日本でHPVワクチンの安全性が問題になったとき、その出発点がこれ。そして極々自然な考え方に見える🐰
実際、接種後に、疼痛・倦怠感・視覚障害・麻痺・歩行障害・起立性症状など、多様な症状が報告された。海外の有害事象報告制度にも、さまざまな症状が大量に記録されている。
では、それらは本当にHPVワクチン接種後に「特徴的」で「多い」のか。
そして、各国の保健当局やWHOは、これらの有害事象や副反応疑いを、どのように評価し、何と判断したのだろうか。
ワクチンの安全性はどのように評価されるのか
ワクチン接種後に症状や病気が起こった。これは因果関係を考えるための出発点にはなる。しかし、「接種後に起こった」という時間的な前後関係だけでは、それがワクチンによって引き起こされたのかはわからない。
ワクチンを接種した後にも、ワクチンが予防する感染症以外の病気や体調不良は、自然発症率に従って起こり続ける(ネクターやエリクサー・神酒ではない)。接種数が多くなればそれに応じて、接種後に重い病気を発症する人も・流産する人も・死亡する人も一定数(自然発症率・背景発症率に応じて)存在することになる
したがって、安全性評価の中心となる問いは、
ワクチンを接種した人では、その病気や症状が、接種しなかった人や自然発症率から予想される頻度より多く起こっているか。
になる🐰
この点については、以前の『ワクチン接種後に有害事象が起こったとして、それがワクチンが原因であるか・因果関係があるかを判断するにはどうしたらいいのか①』『同②』で説明した。簡単にまとめると
・個別の症例や報告から確実に言えるのは「ワクチン接種後に症状が起こった」という時間的関係までで、それが大前提として
・因果関係を評価するには、その病態が接種者で自然発症率や非接種者より多いかを比較する必要がある(疫学的評価)。
・さらに、接種から発症までの時間・接種回数との関係・異なる国や集団での一貫性の評価(疫学的評価の補強)
・その上で、生物学的・病理学的な妥当性などの評価(これはあまり重要ではない・後でついてくる)
いずれにせよ、基本となるのは、接種者と非接種者、あるいは接種後の発症率と背景発生率を比較する疫学的評価だ🐰。
そのためには、臨床試験だけでなく、接種記録、診療記録、疾患レジストリ、接種者・非接種者を比較できる大規模な医療データベースなどが必要になる。一つの研究や一つの国のデータだけでなく、異なる方法と集団で同じ結果が確認されることも重要になるだろう。
有害事象報告(制度)は、安全性評価の「入口」のひとつ🐰
VAERS、Yellow Card、日本の副反応疑い報告などは、接種後に起こった症状を広く集め、未知の副反応の可能性を見つけるための仕組みである。特定の症状や病態が繰り返し報告されれば、詳しく評価すべき安全性シグナルになると言える。
また、安全性シグナルが生じる経路は、有害事象報告制度だけではない。
・(特定の)医療機関に集積した症例
・医師による症例報告
・患者団体から提示された症例
・臨床試験、医療データベースで観察された発症率の偏り(論文報告)
なども、検討すべきシグナルになる。
同時に、このような報告には接種者全体という分母や比較する非接種者集団もない。報告することに依存した数値は『報道や社会的関心』『患者団体の活動』『報告勧奨』『ある病態が副反応ではないかと注目されたこと』によっても大きく変動する。したがって、報告や報告数から発症率や因果関係を判断することはできない。
これが大前提でタイトルに対する一つ目の答え🐰『ワクチン接種と因果関係はわからないが、安全性シグナルだ』
こうして拾われたシグナルを、背景発生率や接種者・非接種者の比較によって検証することが、次の段階になる🐰
この記事は無料で続きを読めます
- 付記:VAERSから安全性シグナルを見つける方法にも限界がある・あった🐰
- 日本の「多様な症状」は、どのように評価されたのか
- 有害事象の報告数は、接種数とどのような関係にあるのか
- 全有害事象報告数は、接種数とともに動くのか
- 失神はどうか?
- 発熱または接種部位疼痛はどう?
- 視覚障害・視神経炎
- 筋力低下・麻痺
- 起立性症状(POTS・起立不耐性・起立性低血圧)
- 有害事象報告からわかること、わからないこと
- 付記:安全性シグナルと因果関係
すでに登録された方はこちら