ワクチン接種後に有害事象が起こったとして、それがワクチンが原因であるか・因果関係があるかを判断するにはどうしたらいいのか②
前回のレター(サポーター限定ですが読めるようにしてあります)では、ワクチンのリスク・安全性に関する評価は『目の前に症状を訴えている人(有害事象の存在)だけをみてもわからず』『その為の質の高い疫学データの収集が必須で』『自然発症率とワクチン接種後の発症率を比較することで可能』であることを解説しました。
『ワクチン接種後に特定の疾患・病態の発症率が、その自然発症率より高くなっていること』がスタートポイントで『率』で表されますので大きな集団を見る必要があります。
今回は、ワクチン接種後に起こった有害事象の因果関係を評価する上で、そのほかのポイントについて解説します。そして、ワクチン行政としてのワクチン後体調不良の認定と補償制度との関係について説明します。
ワクチン接種後体調不良(有害事象)とワクチンとの因果関係を評価するための基準
基本的には病気の原因を探るための方法と同じことです。
接種者と非接種者を比較して接種者に多いことが示された上で、どの様に評価できるかということ🐰また、それが示されていない場合に因果関係を推定するための補助的な評価法は何かという話。
大学の疫学の講義での話なのでうろ覚えなのですが…カネミ油症において原因がわかる前…
疫学的調査において『症状を訴える患者における共通の因子』を調べていたところ(1)カネミ倉庫社製のライスオイルを摂取していた、次に相関があったのが(2)犬を飼っていた、であった。それだけをみると『犬を飼っていること』は『特定の症状(カネミ油症)を呈する』ことに疫学上の疑いをかけることができる。しかし、評価をすすめていくと『犬を飼うことと病態の間に因果関係がないこと』がわかる。
ある疾患・病態の原因にXXが原因となっていると疑った場合…
①時間的関係性
②関連性の強さにおける用量依存性
③副反応としての特異性・一貫性
④生物学的・病理学的な症状の原因としての妥当性
これらを総合して評価されることになります。
一つずつ行ってみましょうか🐰
この記事は無料で続きを読めます
- ワクチン接種と発症の時間的関係性
- 関連性の強さにおける用量依存性
- 副反応の特異性・一貫性
- ワクチン接種(ワクチンの成分)と症状の生物学的・病理学的な妥当性
- 結局のところ、目の前に症状を訴えている人(有害事象の存在)だけをみてもわかることはあまりない🐰
- ワクチンを安心して接種するための補償制度の位置付け
- 過去にHPVワクチン接種後にあったとされる体調不良とはなんだったのだろうか
すでに登録された方はこちら