偏見や嫌悪まみれのHPV
SNSで広まりやすい情報・言説は、怒りや恐怖・嫌悪や偏見を強く刺激し、誰にでも直感的に伝わるほどシンプルに表現される一方で、その内容の正しさとは関係ない🐰
あれれ、🐰さんのスタイルとは真逆ですね。はい、わかりにくいことで定評があります。でも、🐰さんは🐰さんですし、長文で行きます❤️
このレターはこのバズったポストを受けてのものです(品がないので閲覧注意)🐰

しかもそのワクチンを女性にだけ接種させて男は放置なのも
教育現場もキモエロ爺が仕切ってるから
性器や粘膜を主に標的として感染し『がん』や『尖圭コンジローマ』の原因となるHPVは
①ありふれたウイルスだ
男女関係なく性的経験のあるほとんど人が感染しているから『ありふれて』いると表現されます。
②男性・女性関係なく、主にその性的パートナーから感染する
男性から女性にという方向性はありません。女性から男性にも移ります(同性愛も同じです。本稿で以下言及しませんが常に同じです)。男女間の性的関係を想定するのであれば、女性に移すのは男性で、男性に移すのは女性です。
③男女関係なく病気(HPV関連がん・異形成・コンジローマ)の原因になります。
男女間の性的関係を想定するのであれば、ある人が子宮頸がんになったのは、大抵の場合過去・現在パートナーである・あった男性の誰かからハイリスクHPVを移されたからですし、男性が中咽頭がんになったのなら大抵の場合、過去のパートナー女性の誰かから移されたからです。
④HPVに感染していることに男女ともに自覚がありません。
男女ともに、感染していても症状がでることはほとんどありません。自覚がないままに性交渉を介して感染が広がっています。
本来双方向の話であるはずが、男性から移された・女性から移されたというのは一方からの視点に限定した時だけに成立する話です🐰
ただ、ここで一つ深刻な不公平がありまして…
HPVに感染したと自覚すること・負担が発生することは極端に女性に偏っている
実際『HPVに感染したと自覚する』『HPVに感染した負担が発生する』のは…
①子宮頸がん検診・検査等で『HPV陽性となる』→女性だけですね。
②細胞診で異常が指摘される・コルポ/生検で異形成が指摘される→女性だけですね。
③上皮内がんと診断され治療する→女性だけですね
④子宮頸がん(HPV関連がんの大部分)に罹患する→女性だけですね
⑤外陰がん・膣がんも女性だけですし、肛門がんも女性が多い。
これと比較すると、男性のHPV関連がんといえば
①中咽頭がんに罹患する→男性が主です。半分以上がHPV関連がん
②検診は存在しない・HPV検査もしない
③肛門がんは少なく、陰茎がんも少ない。
このように女性に負担が大きく偏っていることがわかるでしょうか。男性も女性も同じぐらい感染しているのに、全体としてその負担はざっくり10倍女性に偏っています。結果として
『女性が男性からHPVに感染させられた』と見える視点が頻度が高く強調されることになります🐰(気持ちはわかる)
対極的に、見えるところに症状がでて感染したことがわかる尖圭コンジローマでは、男女平等に発症して男女ともに『パートナー(のだれか)』から移されたと表現され、場合によってはパートナーを責める言説が出てきます(お互い感染していますが)🐰
先に感染を自覚・認知した方が責める側にまわれるという偏りがありそうです。
なぜHPVはこれほどまでに感染が広がっているのか?
HPVに感染することに関してセーフセックスは存在しません。安全な相手も存在しません。洗ったら安全もありません。新たな相手と性交渉をしないことです🐰
①HPVは持続感染する。これに尽きます。
HPVは一度感染すると生涯にわたって持続感染すると理解してください。多くの場合病気の原因となりませんが、感染源になることはあるでしょう。
子供の時に水疱瘡にかかると、そのウイルスは体の中にずーっと存在して、歳をとってから帯状疱疹として再活性化するのと同じ話です。
キャリアと性交渉をすれば感染します。そしてその人がキャリアになるリスクは過去のパートナー数によります。
・ある人と性交渉をする場合、その相手だけではなく、相手の過去のパートナーと、その過去のパートナーのその時点での過去のパートナーとHPVを共有することになります。
・自分がキャリアになった場合、将来のパートナー全員にそのHPVを移します。
このようにしてHPVは性交渉を介して感染が広がり『ありふれたウイルス』となりました。
通算のパートナーが一人なら大丈夫?
半分だけ正解🐰
性交渉をする人たちの間では最小限の感染リスクと言える。お互いにパートナーがお互い同士ならリスクは最小限と言えるだろう。でも、リスク0じゃない。
・初交前に感染している人が少ないけどいる。
・性交渉以外の感染が少ないけどある。
子宮頸部に感染する行為はそのほとんどが性交渉だと考えていいから(ワクチンの効果からわかった)自分か相手がキャリアで、性交渉で子宮頸部に感染したら(自己播種もあるよ)子宮頸がんの原因になる。
(追記①)自分の通算パートナー数が1人であれば感染リスクの半分以上はパートナーの過去のパートナー数に依存することになる。パートナーを介してHPVの感染源となりうるパートナーはつながっていることになる。
(追記②)HPVに感染しうる接触とは挿入を伴う性交渉だけではなく、繰り返される・皮膚/粘膜の濃厚な接触と考えると良い。キスやペッティングでも感染する。それらも通算の性的パートナー数に入る。
どれくらい簡単に感染するの?
①35歳以上の女性を調べてみたら(A)通算一人のパートナーで半分くらいの人が(B)3人いればほとんどの人が最低一種類のハイリスクHPVに感染したことがあった。
②通算の性的パートナー数と子宮頸がんの発症リスクの関係を調べてみると(A)1人より2人以上だとリスクが高くなるけど(B)3〜5人と増えても微増くらいで(C)6人を超えても10人でも発症リスクは大きく変わらなかった。感染リスク→癌発症リスクが片手に余る程度の数で飽和してしまっている。
③性的デビュー直後の女子大生を調べてみたら、数年のうちに6割程度の人が膣内サンプルからHPVが検出されるようになり、その半分がハイリスクだった。
女性側の視点で見た場合『1人とでも性交渉をすることが一番大きなリスク』で、次が『(どんなに期間が空いていたとしても)2人目以降のパートナーを持つこと』になる。そして後者の場合、女性自身もHPVの感染の広がりに貢献していることをわすれてはいけない(1人目のパートナーから2人目に移したのはあなただ)。男性視点で見た場合も全く同じことが言える。
(A)もしあるところに処女・童貞の集団がいたとする。(B)その集団のHPVの性的デビュー前の感染率は0.1%だった(十分稀だったとする)。(C)性的デビュー後に性交渉を介して感染が広がると仮定した場合・・・40歳までの平均通算パートナー数が10人であれば大部分の人がHPVに感染することになります。
え?10人は多いだろ😺私は3〜5人だからそんなにリスクが高くないはず。
・癌の原因となるHPVは一種類じゃない(特に女性・また不公平だが🐰)。15種類のHPVは独立に感染するとすれば、累積感染リスクは単純に15倍になる。
片手に足りるくらいの通算パートナー数で十分です。性的経験のある多く男女で感染することになるありふれたウイルスになります。
本当の意味で(客観的に検査して確認する方法はないが)処女・童貞の組み合わせであった場合にのみ『HPV関連がんやコンジローマの発症リスクは有意に他のグループよりは低い』と言えるだろうっけど、男女問わず2人目を持った場合以降、簡単に感染リスクは急上昇・飽和してしまうことがわかるだろうか。
ここから分かるのは性産業従事者(通算の性的接触パートナー数が極端に多い)であってもリスクが特別高いというわけではない。性的経験のある女性の中では最大のリスクとなるのは確かだが、他の職業の人で通算で5人〜のパートナーを持った場合と同じ程度と考えていい。
もし(本当に仮にもしだが)感染を広げてしまうことを責めることをするのであれば、性交渉をしたことがないか、男女ともに1人としかしたことがない場合以外の場合は男女問わず責められることになるだろう。
そういう社会にしたい・目指す・現実的に可能であればそれでいいが🐰
HPVは体のどこにいるのか?清潔にしたら感染しないのか?(する🐰)
HPVはウイルスなので感染している細胞の中にいる。感染している細胞(感染病変の表面の細胞)が体から剥がれ落ちる時にその(死んだ)細胞と一緒に環境中に放たれる。
細菌とは異なり細胞の外では増殖できない。ジメジメしたところを好んで繁殖するということもない。もしそうなら、よりジメジメした膣内で繁殖してしまうではないか。
①感染病変・感染している部位が、次の感染場所・相手に接触する(性交渉)と感染する(ことがある)。
②感染病変・感染している部位から放出されたウイルスで汚染されている部位に接触しても感染する(ことがある)。
陰茎と接触して子宮頸部や膣が感染するのは陰茎に感染病変があるから(①)で、膣から陰茎に感染するのは子宮頸部や膣に感染病変があるから。外陰・肛門・口腔咽頭でも同じことが言える(①)。
じゃあ、この感染経路に対して清潔にすれば(綺麗に洗えば)感染が予防できるだろうか? 否🐰
洗っても・清潔を保っても感染病変・細胞が取り除かれるわけではない。感染細胞・感染病変は体の一部だから洗っても残っている。その表面からHPVは次から次へと環境中に放出される。簡単に想像か可能なものとして
目の前に見事なコンジローマがあったとしよう🐰綺麗に洗えば、そのコンジローマは感染性がなくなると言えるだろうか?
直感的に無理っぽいことがわかるだろう。ハイリスクHPVの感染病変はコンジローマほどわかりやすくなく、顕微鏡で確認できるようなマイクロリージョンもある。症状の有無では感染しているかどうかわからず、どんなに洗ってもその感染病変の表面にはウイルスが存在し感染源となる。
男女ともにHPV16の感染が原因でなることが多い外陰・外性器にできるいわゆる『前がん病変』であるボーエン様丘疹症の『比較的わかりやすい』例だ。いくら洗ってもこの表面からウイルスが放出されているだろう🐰
男女問わず気づかずにこの様な病変を持っている人は山ほどいるはずだ。
『指・爪に発症したボーエン病』にハイリスクHPVの感染によるものがある。皮膚科領域では有名な話で、これは指←→外陰・性器の感染ルートが存在することを強く示唆する。
コンドームがHPVの感染予防に不完全(性行為の回数に対してはほとんど無意味)であると考えていいことも
・コンドームが覆う陰茎以外にも感染していること。
・もし陰茎に感染病変があったとしてコンドームで覆ったとしても②よりコンドームの表面がHPVで汚染されてしまっては、子宮頸部にHPVが運ばれてしまうこと
を考えるとわかりやすいだろう。
HPVは元々男性に感染しているの?男性に感染させるのは女性であることのエビデンスはあるの?
何個か例をあげよう。
①男性にHPVワクチンを接種すると→男性に女性から感染しなくなる→男性のコンジローマが減った。
ワクチンは既に感染している人には効かないのはご存知の通り。ワクチンを接種してコンジローマが減ったのなら、ワクチン接種前には感染していなくて、接種後に感染機会があったことになる。ね、元々男性にHPVは感染していなかった。
②女性にHPVワクチンを接種したら男性のコンジローマが減った。
女性にHPVワクチンを接種すると、女性がキャリアである男性と性交渉をしても感染しなくなる。十分女性の接種率が高くなると女性集団中のHPV6/11の感染率が減少する。すると男性がHPV6/11に感染することがなくなり、未接種の男性においてもコンジローマが発症しなくなる。
ワクチン導入前は女性から男性に感染させていたことがよくわかる。
③女性にHPVワクチンを接種したら『未接種の』女性の異形成(や癌)が減った。
これは②の拡張版になり、ワクチンを接種した女性が感染しなくなると、そのパートナーである男性が感染しなくなり、回り回って未接種の女性まで感染しなくなったわけだ🐰
ワクチン導入前は『男←→女←→男←→女』の間で感染が広がっていたことがわかる。ここからも、多くの性交渉の経験のない男女はHPVに感染していないことがわかる。
『多くの場合(男が)元々感染している』のならこの様なことは起こらない。
以下はこの様な偏見・嫌悪のもとにどの様な背景があるのか、その害について論じる🐰
『HPVに感染することが片方の性の責任であること』にある背景と問題点🐰結局双方の性を差別や偏見の対象とすることになる、
戦後、『子宮頸がんの原因は何か』との探索が活発になり、20世紀の終わりに『ハイリスクHPVの感染が根本原因』と決着がつくまで実にさまざまな議論が存在した。
医学的な文脈においても同じ様な偏見が存在したことを強調したい🐰同じ様なやらかしを何十年も専門家も一般の人も繰り返しているのがわかる🐰
『馬の恥垢をマウスの膣に繰り返し注入したらがんを誘導できた』という研究を受けてJAMA(一流誌よ)のエディターは『貧困家庭に生まれた男子は割礼しよう。陰茎の清潔に関して教育するよりよっぽど現実的だ』と訴えた。
これは化学発癌の典型例と言える言えるが、子宮頸がんが(主にその発症部位と部位と処女では発症しにくいという神話から)性交渉に関係する何かが因子にあるのだろうという漠然としたアイディアがあった。そしてこの単純な研究結果から『貧困家庭に生まれた男子は割礼しよう。陰茎の清潔に関して教育するよりよっぽど現実的』という暴論に近いコメントとなっている。割礼はともかく、清潔にしても予防効果はないことを考えれば、単なる品のないジョークにしか聞こえない。
一方、最初に引用したポストの原型の全てがここにあることがわかるだろう。
実際割礼をしたところで子宮頸がんは減らないだろう。数点論点を挙げる
疫学的に子宮頸がんの罹患率が高い地域と低い地域がある(検診の影響を取り除くこと)。割礼文化のある地域で子宮頸がん罹患率が低いところがあるが、逆に割礼文化のある国で子宮頸がん罹患率が高い地域もある。割礼が子宮頸がん罹患率に影響を与えているかもという仮説は、大きな因子としてはは否定的である。他の性文化的な要因を考えた方がいい(例えば通算の性的パートナー数の平均が3より少ないとか)。
割礼をしている・していない男性をパートナーとする女性の子宮頸がん罹患率を直接調査した論文が一つだけある(よくやった)🐰そこでは『女性が生涯で1人しかパートナーを持たず』かつ『そのパートナーがハイリスク(通算パートナー数が5を超える)である場合』子宮頸がん罹患率に有意な差があるかもしれないという結果だった。差があったとしても女性が2人目のパートナーを持つとかき消える様なインパクトだ。
割礼の有無でわけて観察研究をすると、男性側のHPV検出率に差がある。時にこれは、持続感染率に割礼が影響を与える論文として引用されるが『全員持続感染している可能性を考慮すると』検出率の差である可能性が高い(少なくともその様な批判はできる)。この陽性率の差が、女性への感染率や子宮頸がんの罹患率に影響があると議論するのは、その論理に大きなギャップがある。
性的デビュー後の女子大生を対象に観察研究した例では、割礼の有無は女性側のHPV陽性化率に影響を与えなかった。性交渉をすること・パートナー数・パートナーの過去のパートナー数がリスクで、パートナーの割礼の有無はリスクファクターではなかった。
割礼とHPV関連がんの関係で一ついえることがある
陰茎がんの半分以上がHPV16の感染が原因で起こっている。同時に、陰茎がんのリスク因子として『真性』包茎・慢性の亀頭炎があることも知られている。HPVの感染+慢性炎症がその発症に関与すると考えていい。同時に陰茎がんが子宮頸がんの罹患率の20分の1以下であることを考えると、子宮頸がんと同じ様にHPV16が感染することが必要条件でも、コファクターの影響がより大きいことがわかる。
真性包茎の場合、それを治療すれば陰茎がんは減るだろう。男性自身の問題として、真性包茎は治療が勧められる・保険適応だ。
HPVワクチンの開発が成功する前『割礼』が子宮頸がん予防戦略の一つとして挙げられたことがある。これは一部の性行為感染症(STD/STI)のリスクを割礼が減少させることができること(HPVにおける関係よりよりしっかりとしたエビデンスがある)と関連して挙げられた。
他のSTD/STIの予防の合わせて『やらないよりましかも・他に有効な方法がない』という意味では理解できる。実際の社会で、公衆衛生上の対策としてユニバーサルな割礼が導入されていないことをみると、実際の正味の効果も費用対効果としても割礼は期待されていない。しかもこれまで論じた様にHPVに関しては効果があると言える根拠はほとんどない。
ワクチンが開発成功した後には綺麗さっぱり言われなくなった。HPVワクチンを接種した方がはるかに負担が小さく・安価で・効果があるからだ。
男性への定期接種ハヨ🐰
HPVの感染源として、男性に対する嫌悪・差別を裏がえすと女性に対する嫌悪や差別へとつながる。両性にとって不幸だ🐰
HPVに感染すること・異形成になること・子宮頸がんになることの大きな負担の一つに、女性に対する偏見や差別があった。現在進行形で実際にあるし、その解消はHPV関連疾患における啓発の大きな目標の一つだ。
主に男性から感染するのだろうという偏見・嫌悪は、裏返すとそのまま感染している女性に対する偏見・嫌悪となる。これも男性の場合と同様に古い古い医学界まで巻き込んだ歴史がある。
ちょっと見てみるね🐰
1963年に『新たながん研究の展望』(PMID:13988543)という論文・レビューがある。子宮頸がんに関して論じられた部分では、
子宮頸がんが何かしら環境因子の影響で発症していると推定した上で、“If one were to grade women by their sexual experience, from virgin to prostitute, the incidence of cervical cancer would be related to the amount of sexual exposure (もし女性を処女から売春婦まで性経験で格付けするならば、子宮頸がんの発生率は性的曝露量に関係するだろう)”と記載された。
この主張が(医学論文として大真面目に議論された)簡単に子宮頸がんに罹患した女性に対する偏見につながることは簡単にわかるだろう。で、実際女性を性的経験の多寡で格付け(Grade)することも正しくなければ、性的曝露量と子宮頸がんリスクが比例関係にないことも説明した。偏見に過ぎなかったと言える。
HPV検査検診に移行したあと、検診忌避の理由の一つとしてHPV陽性の結果が出ることに対する恐怖・検診の結果のもたらす心理負担のひとつとして、HPV陽性となること自体が挙げられる。HPV陽性となったことが『Dirty』であるという自己評価・偏見をおそれてのものだ。正しくはないが、偏見自体は存在する。
性的に不適切な行動が子宮頸がんの原因であると問題設定をした疫学者は『子宮頸がん患者における性的な特徴』と言われる論文を1967年に発表した(PMID:6067206)。その中では、大真面目に
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子宮頸がんになった人は初めての性交渉がベッドの上ではなく地面の上であった傾向が7倍高かった
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自慰の方法や頻度を調べて、驚いたことに(何に?)子宮頸がんに罹患した人と対照の間に傾向の違いがなかった、強さ・深さ・頻度や使う道具に…
このようなことを大真面目議論している。今、振り返るとなんのことかわからないし、色々調査すれば、たまたま有意差が出る様なことはある。
『初めての性交渉は野外はやめておこう。子宮頸がんになりやすい』🐰意味なかろう
この辺の疫学調査を見てみると色々面白い(言葉は悪いが真面目に取り扱うな)。子宮頸がんになりやすい女性の特徴として、より海辺に近い大きな町に住んでいて、教育レベルが低く・給料が少な目、同様にパートナーの教育レベル・給料が低いと子宮頸がんになりやすい。
疫学調査としての評価はおいておいて、文字通り取れば偏見・差別満載となっている。
いかに馬鹿馬鹿しいかの例としてあげた🐰念の為
『売春婦は子宮頸がんになりやすい』?
🐰『偏見に基づく主張だった。根拠はない』こっち(不特定多数と性交渉をすると子宮頸がんになるの?②)
『修道女は子宮頸がんになりにくい』?
🐰『上記の偏見を裏返した主張だった。根拠はない』こっち(不特定多数と性交渉をすると子宮頸がんになるの?①)
最近の話としても、英国のシニア医官が性教育関連の発言として『子宮頸がんは直接的に性交渉の回数と関連するのは確実である』・『子宮頸がんは性病に関連するというキャンペーンをおこなう時が来た』とした(今の日本でもそのような教育上の記述があるらしいね)。
実際は『性交渉を行う限り(多寡にかかわらず)HPVに感染するのを避けるのは困難』であることがわかっていて、英国NHSの子宮頸がんリスクを説明するページからはそのような記述は消えている。
性的な行動によって(性的な不適切な行動を減らすことによって)子宮頸がんリスクをコントロールするのは現実的でないのだ。正確に表現すれば『男女共に生涯で持つ性的パートナーは1人に限定する。社会全体でそれに近くなる様に目指す』のかどうかということになる。
これが現実的な政治信条であればそう主張するのであればそれで構わないが、大多数の人が同意する様な公衆衛生上の目標とはならないだろう。
では実際にHPVの感染を予防・関連がんを予防するにはどうしたらいいか(男女)🐰
『男女共に生涯で持つ性的パートナーは1人に限定する』これは多くの人が目標とする公衆衛生上の目標とはしない・できない。
性的関係を持つタイミング・相手は双方の合意に基づいて各自で決めて貰えばよい。するべき相手とするべきタイミングですれば良いし、もちろんしなくても良いし、しない方がいいこともあるだろう。HPV感染の視点からは特にいうことはない。自分の意思で決めて欲しい。
結果として1人であった人生もあれば、複数いたという人生もあるだろう。どれが正解だという議論はしないし、不要だ。
一つ男女共にできることがあってHPVワクチンの接種になる。HPVワクチンを適切なタイミングで接種すれば、それぞれの人生に応じた、それぞれのHPV関連がん・尖圭コンジローマの発症リスクが10分の1になる。どの様な人生になろうと、リスクが10分の1だ。これ以上に効率の良い、有効な予防法は他にはない。
そして残り10分の1のリスクを、女性であれば定期的な検診(おそらく生涯で2回で十分だ)で予防すればHPV関連癌は撲滅できる。
これを実現するには男女共に初交前のワクチン接種が必須だ(女性を守るために男性が・その逆も真という意味ではない。男性を守るためには男性が接種する必要がある)。
男女共に多くの人が経験することになる性交渉を通じて感染することになる普遍的なリスクだ。そして(多寡はあっても)男女共に病気の原因となっている。その様なウイルスに対して男女共に有効なワクチンが存在するのだから、男女共に適切なタイミングでワクチンを接種できる様にすることは当然のことだ。
男性への定期接種化ハヨ🐰
何も嫌悪や偏見に訴えなくても結論は同じだ
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