子宮頸がん検診受診の推奨されるタイミングは…①30歳未経験②初体験が早かった③最近パートナーが変わった場合
検診とは『無症状・健康な一般集団に対して一律に』行うものを指します🐰全員に一律に推奨される考え方を示します。
考える上での背景にあるファクトから行きますよー🐰
(A)子宮頸がん検診の目的は二つある。ひとつ:浸潤子宮頸がんを早期(低ステージ)発見してがんによる死亡率をさげること。ふたつ:上皮内がんを治療して子宮頸がん発症を予防すること。
子宮頸がん検診が『前がん病変』検診だと言われるのは、ふたつ目の目的が主だからです。この二つの目的は別々のタイミングで効きます。
ひとつ:子宮頸がんの早期発見は検診を受けた時になされる
ふたつ:子宮頸がんの予防としては検診を受けた5〜10年後に減少する
これは重要なポイントで、ひとつ目(早期発見)が目的であれば『子宮頸がんの罹患率が高い世代を対象』にすべきですし、ふたつ目(予防)が目的であれば『子宮頸がん罹患率の高い世代の5年前の世代が対象』になります。
(B)子宮頸がん検診には負担も不利益も害も存在する。不利益に対して利益が上回る場合に推奨できます。
子宮頸がん検診の負担・不利益・害に関しては次回以降のレターでまとめます。マシュマロも来てるでな🐰もぐもぐ
負担・不利益・害がないのであれば、みんな半年に一回でも・3ヶ月に一回でもやればいいのです。これを考慮しないのであれば議論は成り立ちません。前提となる話です。
(C)検診の有効性には限界がある
ざっくり検診で予防できない子宮頸がんがあります。検診疫学を見れば明らかです。
・HPV関連であっても一部の子宮頸がんは検診を受けていても『浸潤子宮頸がん』として発症してくる。全体の10%くらいになるでしょうか。これに関しては、ひとつ目の目的:早期発見で対応する部分です。
・検診で予防できないHPV関連子宮頸がんの割合は若い人ほど多い。
ざっくり感染から10年以内に発症する子宮頸がんに対して検診は有効ではありません。日本の子宮頸がん検診ガイドラインでも『20代の子宮頸がん検診の有効性に関してははっきりしない』とあります。
イングランドの保健当局はワクチンとは関係なく『20代前半の子宮頸がん検診をやめても増えもしなければ、死亡率もかわらない』と2004年以降25歳に引き上げました。さらにその後『24.5歳以降の浸潤子宮頸がんの早期発見・死亡率の減少に効く』として、25歳だったのを24.5歳に引き下げました。
スコットランド・オーストラリアの保健当局はワクチン接種世代によって置き換わったとして、25歳未満の子宮頸がん検診を廃止しました。ワクチンが100%の子宮頸がんを予防するわけではなくとも、ワクチンで減少した罹患率に対して意味はないとしたわけです。意味がなければ負担・害が大きくなります。
これがよく指摘されていないのですが
・現行の子宮頸がん検診ではHPV陰性子宮頸がんは早期発見も死亡率の減少にも有効ではない
子宮頸がん検診は『HPV関連』子宮頸がんに対する検診です。HPV陰性子宮頸がんに有効な検診は存在しません。HPV陰性子宮頸がんは『症状(不正性器出血が早期としては一番でしょう)が出てから対処する』しか方法がありません(子宮体癌と同じです)。
これも重要で『HPV検査単独検診法』への移行が進むことに対する妥当性にこの事実は外せません。『HPV検査単独検診法』への移行は、子宮頸がん検診はHPV陰性癌は検診の対象としないと言っているのと同じですからね🐰
(A)しか考慮しないのであれば以下の議論は不要です。好きなだけ好きなタイミングで検診を受けてください。
この前提が共有できれば簡単です。一つずつ見てみましょう。
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- 性的接触未経験であれば子宮頸がん検診を受ける必要はない🐰
- 初体験が早かったが早かったとしても20歳までは受けなくていい🐰
- 性的虐待などの例はどう扱うか
- 最近パートナーが変わった・複数のパートナーを持った・新しいHPVの感染機会があった場合も通常の間隔で次回検診を受ければ良い🐰
- 過剰診断が多いほど検診から恩恵を受けたと感じる人が多くなる「ポピュラリティパラドクス」
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