既にコンジローマ罹患・治癒済みの人が、ワクチンを接種した場合再発は予防できる?

効果は期待しない方がいい。残念ながら🐰短くいくよ
アマミノクロウサギ(Amamino_Kurousagi) 2024.09.16
誰でも

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HPVワクチンに関する説明において

HPVワクチンは感染してしまっているウイルスに対しては効果もなく、まだ未感染のウイルスにのみ効果が発揮される。ただし、HPVは複数の型があるから、一つ感染していたとしても、まだ感染していない型にに対しては効果が期待できる

というのは、聞いたことがあるよね🐰ね?ね?

キャッチアップ接種対象者において『もう感染してしまっているために、ワクチン接種が手遅れになっている』のも正しく、『まだ感染していない型がそれに対しては効く・ワクチンの意味がある』これも正しい。

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・HPVワクチンは純粋な感染予防ワクチンだ。感染する前の細胞の外にいるHPVにしか効かない。

これは、感染した細胞に対する免疫が誘導されないことによる。ワクチンに用いている、ウイルスの蛋白(抗原)が感染細胞で発現していないという、根本的な理由がある(意味がわからん?そのうち説明するか🐰)

・HPVは持続感染するウイルスだ。

一度感染すると、生涯持続感染してそこから、発症したり・再発したりしている。大抵の場合は免疫がいい仕事をするので、発症しないし・治癒すれば再発しない。時々、いい仕事をしない、というか、HPVがうまくすり抜けて再発するのが問題なわけ。

以上のことから、一度感染したヒト・発症したした人に、ワクチンが有効である場合はどんな時かがわかるだろう。

①複数のHPVが原因となることがあって、感染したことがないHPVがある場合(キャッチアップ世代はこれが当てはまる)

②再発症に同じ型のHPVの再感染が効いている場合(あるの’?)

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コンジローマの場合、ローリスクHPVの感染が原因になると記載されていても、その実際はほとんどがHPV6と11だ(6が多い)。では、6と11が2回感染して、別々のHPVが原因でコンジローマになるのだろうか?可能性としてはあるが、おそらくないだろうと考えられている(多くはない)。

これは、6と11が免疫学的に非常に近縁で、片方に一度感染し、発症して免疫が成立・治癒した場合もう一つのHPVに対しても免疫が成立することで説明される。6に感染したヒトは11に感染しないのではないかという話ね。

この話を採用すると、6型でコンジローマになった人が、治癒後にワクチンを接種し11型に対する免疫を誘導しても、再発率に影響を与えない。もともと11には感染・発症しない免疫が成立し、再発するとすれば、今感染してる6型によるものだからね。

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再発に再感染が寄与する部分がある?これは面白い議論があって、全くの0ではないだろうが…ということになるよ🐰

例えば、再発性気道乳頭腫症(RRP)の繰り返される再発において、ワクチン接種が再発頻度を減少させたというデータがある

これはRRPを発症してしまう人が、HPVの気道における感染を制御できない何らかの背景がある場合に、その『再発症の機序』において(A)すでに感染しているものからの活性化と(B)自己播種による自己再感染の二つの機序があることを示唆した、面白い観察事実ね。

大事なのは『HPVの気道における感染を制御できない何らかの背景がある場合』で、コンジローマを発症するのが(多くの場合再発しない)このような背景があることかどうかがわからないこと

高度異形成の治療(円錐切除などの取り除く系)後再発をワクチンが一定予防できそうなデータがある

これも『再発の機序』に治療後に再生される『未感染子宮頸部上皮』に、自己・パートナーから再感染して発症していることがあることを示唆した、面白い観察事実ね。

大事なのは『治療後に未感染子宮頸部上皮が再生される』ことで、、未感染だから再感染しうるってわけ。コンジローマの再発にこのような状況が考えられるだろうか?

結局どうなのよ

現時点で利用できる観察研究をまとめて見てみると(メタアナライシス)、コンジローマ発症後のワクチン接種は再発率に影響を与えていない。

これが、現時点でのコンセンサスです🐰まず、効果は期待しない方がいいでしょう。

その上で、コンジローマの再発をテーマにした臨床試験は行われていないので、より正確に評価するために(上記①や②の可能性)、ランダム化比較試験がいるよねと、実際臨床研究が現在行われている最中です。

臨床研究の結果によって、効果がどの程度あるのかないのか(あったとしても限定的であることが予想できます)を定量的にいうことができるようになります。

20年代後半には、報告がでてくると予想できますので、待つことになりますね。

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