バングラデシュのHPVワクチン導入は大成功に終わったようだ🐰
これの続報になる。報告がただしいのであれば大成功だ
まず、バングラデシュのHPV関連がんの負担のおさらいから

バングラデシュ(HPVCntreから)
比較のために日本のやつも

日本(HPVCentreから)
罹患率で見た場合(検診である程度予防されているにも関わらず)日本の方が罹患率が高いことがわかる。素の罹患率は日本の方がはるかに大きいことが推定できる。先日『入浴の習慣が云々・清潔度が子宮頸がんの云々』と頓珍漢な主張をしている人がいたが、それが正しいのであれば日本人は圧倒的に不潔であると言うことになる。
もちろん入浴や清潔さと子宮頸がんの罹患は直接関係ない。1960年代からある偏見だ。
また、女性全体のがんの中でしめる割合が、日本の方が罹患率が高いにも関わらず順位が低いものになっている。これは、日本人の方が高齢者が多いため、がん発症率が高く分布も変わるため。特に大腸がんの数・順位が違う。高齢化社会の日本では高齢者のがんが多いため目立ちにくいが、子宮頸がんは特に比較的若い層で発症する特徴があり『負担が低め』ということは全くない。
また、罹患率に対する・死亡率の比をみてもらうと、日本の方が治療成績がよいことがわかる。
バングラデシュでは、(日本よりも罹患率は低いにも関わらず)女性のがん罹患の2位・死亡の3位を占める、大きな公衆衛生上の問題と捉えられていた。
バングラデシュでのHPVワクチンの導入のまとめ
HPVのワクチンの導入は二つのフェーズで行われる。
①複数の学年を対象とした導入フェーズ。
ざっくり効果の高いと言える女性の集団は一学年ではない。そのため最初にワクチンを導入する時には(可能であれば)効果のあるとされる複数学年を対象に導入されることが多い。導入当初オーストラリアでは26歳まで(3年間)英国では18歳まで(1年間)を対象にワクチン導入を行った。
カバーする学年分の余分なワクチンが期間限定で必要となる。
②定期接種として一学年を対象として継続して行うフェーズ
毎年・毎年一年分の対象者が生まれてくるわけだから、基本的にワクチン接種の必要があるのは一年あたり一学年分だ。導入フェーズ以降は、毎年一学年分のワクチンがあれば実施できる。
実質的に日本では過去3年間①が行われたことがわかるだろう。2022年にHPVワクチンを開始したとすれば、オーストラリアとほとんど同じことをやったことになる(15年遅れただけの話だ)。
①として、バングラデシュでは対象者は620万人。
2023年に首都ダッカを含む州でパイロット的に開始して、その大成功を受けて560万人を対象に2024年の10月に集中的にワクチン接種キャンペーンを行った
定期接種10歳・キャッチアップ11〜14歳を、2週間でやり切ると言う計画ね。キャッチアップ摂取なんて、ダラダラやるものではない。
バングラデシュのHPVワクチン導入は大成功に終わったようだ🐰
HPVワクチン接種キャンペーンは2週間にわたって行われ、その結果として非常に高い接種率を達成したことが報告された。
”Pabna district”では99%の接種率という驚異的な数字を出し、全国平均でも93%というワクチン接種率を達成した。
①WHOの目標とする『15歳の誕生日までに90%の女性がワクチンを接種すること』を達成した国としてバングラデシュが加わった。
今年、5学年接種したから、次の4年間は達成したことになる。
②1年間(後期キャンペーンはわずか2週間)という短期間で、ワクチンの接種事業を行えた。もちろんその準備には何年もかけている。日本の失敗からも学ばせてもらった。
③このまま、来年以降の定期接種(10歳を対象)に移行できれば良い

Children with teachers during a HPV vaccination session at a primary school in Bangladesh. Credit: Sumon Mahmud, Sujanagar UHC
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