HPVワクチンに子宮頸がん予防効果があるってなぜ言えた?
ワクチンや薬品を実際にヒトに使った場合に効果があることをどのように『定量的に』示したらいいだろうか(どのくらい効くか量的に評価すること)?
この問いは、治療/手術法による効果の違い、逆に副作用・副反応に関して『定量的に』示すにはどのようにしたらいいかと同じものになりますね。
色々なものが考えられます(試験管内で培養細胞に効いた・動物実験で効いたとかいうのは別。ヒトまで話がきた場合)🐰
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個人の例を持ってきて、『XX』を行ったら治った!
SNSや日常の会話の中ではよく聞く話でしょうし、個人レベルで評価するとしたらこれしかありません🐰次に、臨床の先生などで
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『ある疾患Xに対して100人の治療経験があり、87人で治った』
なるほど、かなり有効な治療法に聞こえます。
このような事例はたとえ『論文』として発表されたとしても、その治療が有効であることの『有効なエビデンスがある』と評価されることはありませんし『有効性の確認された』治療法と見なされることもありません。
もちろん新しい治療法や疾患の病態に関する理解を深めるきっかけになる重要な第一歩かもしれません。これだけでは有効性を支持するものではないという意味です。
まず、その治療法のために治癒したのかどうかわかりません。治療・介入と関係なく自然治癒したのかもしれません。また、同じことが他の人が他の患者に行っても同様に起こるのか、再現性があるのかわかりません。
ワクチン接種後の体調不良に関して『目の前の症状を訴えている人(有害事象の存在)だけをみてもわからない』(こちら)ことと同じ考え方であるのがわかるでしょう。治療後に治ったことに関して、目の前の治った人だけを見ていても決してわからず、集団・疫学・統計的な手法で評価する必要があるということです。
集団に対して治療(ワクチン接種)をした人としていない人を比較して評価をする必要があるということですね🐰では、どのように比較するか
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- そこで出てくるのが『二重盲検・ランダム化比較試験」
- 二重盲検・ランダム化比較試験がないと効果があるといえないの?
- HPVワクチンの子宮頸がん予防効果に関する有効性はどのように示された?
- ①子宮頸がん予防効果に関して直接RCTで評価することは『不可能』である(1)試験参加者数と期間が現実的ではない
- ①子宮頸がん予防効果に関して直接RCTで評価することは『不可能』である(2)RCTにおいて子宮頸がんは発症してこない
- ②そのため代替指標を用いて評価された(代替指標を用いて評価できることに関するエビデンスが存在した)
- ③そのため、代替指標を用いたことに関する一定の議論が存在した(ダイアン・ハーパーによる指摘が典型)。
- ④最近ワクチン接種集団で子宮頸がんが減っていることが観察・確認され、②の代替指標で評価したことが誤りではなかったことが確認された。
- 追加のあれやこれや
- まとめ
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