HPVワクチンの安全性評価⑥ワクチンの安全性に関する世界諮問委員会によるレビュー(2017年)
HPVの安全性の評価において、そのエビデンスの大部分は、国際的なサーベイランス・研究に基づくものになる。
日本国内からのデータによるものは限定的だ。国際的な評価が常に正しいの?という批判はそんざいするが、日本国内の限られた副作用を訴えている人だけみていては、決して因果関係がある病態かどうか評価することは不可能で、疫学的・統計的な評価を行う必要があると言うことだ。
GACVSのレビューはその集大成の様なものね。
いつもの前振り🐰
ワクチンの安全性に関する世界諮問委員会(Global Advisory Committee on Vaccine Safety: GACVS)とは、ワクチンの安全な使用に関してのガイダンスを提供する『独立した』専門家グループ。同委員会は1999年にWHOによって設立され、その責務の一部としてワクチン・セーフティ・ネットを監督している。ワクチンセーフティネットに関してはこっち。
GACVS年に2回会合を開き、その結果をWHO Weekly Epidemiological Recordに発表しています。その中でHPVワクチンに関しては2006/7年上市後、安全性に関してその時点のエビデンスで総合的にどの様な評価ができるか・今後の課題に関して議論されています。
ここで示された評価は世界中の専門家・保健機関の大部分がざっくり同意する内容ということね🐰
***
前回まではリンクを参照。簡単には
『HPVワクチンの安全性に関して問題ないと再確認』
『HPVワクチンの安全性に関するサーベイランス・疫学的調査の継続の重要性が強調される』
今回は2017年7月に行われた、GACVSによるHPVワクチンの安全性に関するレビューから。
この記事は無料で続きを読めます
- HPVワクチンは非常に安全なワクチンだ(大雑把なまとめ)
- ギランバレー症候群はHPVワクチンのリスクか?(最近加わった評価)
- 複合性局所疼痛症候群・体位性頻脈症候群・早発卵巣機能不全・原発性卵巣機能不全・静脈血栓塞栓症はHPVワクチンのリスクか?
- セリアック病がリスクの可能性として検出されたが?
- 妊娠中のHPVワクチンの接種は安全だろうか?
- CRPS(複合性局所疼痛症候群)やPOTS(体位性頻脈症候群)はHPVワクチン接種と関連する『症例報告』として引き続き提示され続けている
- 質の高い評価においてHPVワクチンに関する安全性の懸念は検出されていない
- HPVワクチンの安全性に関する懸念とは、科学的に安全かどうかだけの問題ではない
- どの様にHPVワクチンの安全性に関する情報をワクチンプログラムに反映させるか
- HPVワクチンの承認以来、GACVSは多くの大規模で質の高い研究に基づいて、新たな懸念すべき有害事象・安全上の懸念を発見しておらず、今回のレビューで評価された新しいデータは、この立場をさらに強化した
すでに登録された方はこちら